潜水艦

目に見えぬ場所で黙々と任務をこなす潜水艦

私は軍事用の飛行機や船といったものが好きではないのに、ヘリに乗ったり、航空祭に行ったり、船の中を見学するという体験をさせてもらっています。それというのも私を取り囲む家が自衛隊一家だからです。自分には向いていないと思いながら、もし、自衛隊一家でなければ、興味を持つこともなかったし、実際にそこで働いている人がいる、日本に存在しているということで知っておかなければならないと思うようになりました

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潜水艦の基礎知識

潜水艦とは、水中で活動することができる船のことを言います。昔は必要時に水に潜る可潜艦でしたが、原子力潜水艦の出現により、ほぼ無制限の水中行動が可能となっています。また、高性能になり、1ヶ月程度の海中潜伏も可能になりました。小型の潜水艦は潜水艇と呼ばれています。

● 潜水艦の歴史

実用的な潜水艦を最初に造ったのはアメリカでした。
ホランドSS-1という艦で、ガソリンエンジンで走り、バッテリーでモーターを稼動させる方法でしたが、実戦で活用することはできませんでした。第1次世界大戦中の1915年5月、ドイツの潜水艦が英国客船ルシタニア号を撃沈しました。この船には、当時中立国だったアメリカ人も乗り込んでいたのですが、ルシタニア号には軍事物資が積まれていたため、ドイツ軍は軍用船であると主張、この事を発端に、1917年アメリカが参戦することになりました。イギリスは当時、資源、物資に恵まれておらず、世界中の植民地から物資を得ていたため、海上輸送ルートが生命線でした。一方、大陸国家であるドイツは、物資に比較的恵まれていたものの、軍艦の数は少なかったため、戦闘艦ではなく輸送船を狙いました。こうしたことから、ドイツは潜水艦を造るようになりました。これを「ルシタニア号事件」と言います。

● 潜水艦の構造

潜水艦は水に潜り、好きな所から攻撃ができるため、錘が必要とされています。海水を水タンクに入れて鐘としています。潜水艦は水圧に耐える構造をしています。材質は主に高張力鋼と呼ばれる特殊鋼材を使用しています。ロシアではチタニウム合金が使用されましたが、一般化されていません。水中に潜るためのタンクをメイン・バラスト・タンクといいます。メイン・バラスト・タンクには、短殻型と複殻型があり、複殻型が丈夫です。敵艦を発見する方法には、レーダー潜望鏡ソナーの3つがあります。中でもソナーは音波を受けるため、水中での使用も可能です。

セイル艦体上部にある出っ張りのこと。現在、水中航行が多くなり、水中抵抗低減用のセイルが使用されています。

発令所艦長や士官たちが指揮命令を行う場所です。

魚雷発射管圧搾空気で射出していましたが、最近は水圧を利用した方法が取られています。発射時の雑音を抑えることができます。魚雷発射館内で推進装置を作動させ、魚雷そのものの推進力で自力走行させる方法をスイムアウトと言います。

上下方向を取る水平舵または潜舵と左右方向を取る方向舵があります。他には、居住区画、ソナー区画、電池室、燃料格納庫、機関部、推進部、原潜には原子炉区画、SSBNにはミサイル区画などがあります。

浮上して作業をする潜水艦乗組員

● 潜水艦の種類

潜水艦の種類は一般的に、動力の違い、任務や機能により分類されます。
動力別には、原子力潜水艦、通常動力型潜水艦などがあります。そのほとんどがディーゼル機関と蓄電池の組み合わせですが、近年はスターリング型エンジンを用いた無吸気(AIP)航行、いわゆるクローズドサイクル機関搭載の艦も登場、海上自衛隊ではKOCKUMS社(スウェーデン)製のスターリングエンジンの採用を検討中と伝えられています。
任務や機能別では、弾道ミサイル潜水艦、ミサイル潜水艦、攻撃型潜水艦などがありますが、世界共通の分類方法ではありません。

弾道ミサイル潜水艦【SSB、SSBN】 戦略爆撃機、戦略核抑止力の一翼を担うもので、通常は大洋に進出潜航し、戦略核戦争発動時に浮上し、戦略ミサイルで報復攻撃を行います。
ミサイル潜水艦【SSG、SSGN】 旧ソ連の潜水艦など、巡航ミサイルを搭載する潜水艦。
攻撃型潜水艦【SS、SSN】 艦船や潜水艦を攻撃する事を主な任務とします。
対潜潜水艦【SSK】 潜水艦を捜索攻撃する事を主な任務とする潜水艦です。
哨戒潜水艦【SS】 沿岸や近海で哨戒待機することを主な任務とする潜水艦。涙滴型が多いです。
特務潜水艦、支援潜水艦【SSA、SSAN、TSS、ATSS】 潜水艦乗員の訓練用、対潜訓練目標、各種試験用等、特殊任務に就いている潜水艦。
小型潜水艇【SSM、SDV、LSDV】 港湾等の潜入攻撃や、特殊部隊を搬送潜入させる為の潜水艇。
深海救難艇【DSRV】 事故潜水艦からの乗員救難用の救難艇。日本ではちはや、ちよだがあります。ちはやは、2001年2月にハワイ沖で、えひめ丸が事故にあった際、救助に参加しました。

● 原子力潜水艦

動力に原子力を使用するもの。燃料切れの心配がなく、潜航中の動力の供給に制約が生じないため、長期の航海ができるという利点があります。理論上では10年以上可能と言われていますが、実際には乗員の精神面などの問題があるため、無補給で90日程度です。通常動力では最高速度20数ノットですが、ロシアのアルファ級攻撃型原潜などでは最高速度40ノットを超えます。短所は減速ギヤや冷却水循環ポンプの音が大きい点があります。 かつて一流と呼ばれていたロシアの原子力潜水艦ですが、近年は財政難から停滞を伝えられることが多くなりました。2000年8月に起きたロシア原子力潜水艦の沈没事故は、艦の整備や修理に手が回らずに起きた爆発が原因と言われています。

日本の潜水艦

● 日本海軍の潜水艦

1944年7月「回天」という特攻兵器が採用されました。人間が操縦しながら敵艦に追突し、自爆する「人間魚雷」というものです。この「回天」を運ぶために潜水艦が用いられました。また、同年12月、イ号潜水艦「イ400型:特潜型」が3機の航空機(晴嵐)を搭載、アメリカ本土の攻撃を計画したものの、実現にはいたりませんでした。本土攻撃の経験が一度もないアメリカの戦意喪失を狙ったものとされますが、小型機三機での攻撃にどれだけの効果が期待できたのか、非常に疑問です。

● 海上自衛隊の潜水艦

昔、家に海上自衛隊の船が並んだポスターが貼ってあって、少しだけ名前を覚えました。海上自衛隊は、護衛艦54隻、潜水艦16隻、掃海艇31隻、高速ミサイル艇7隻を所有しています。父は魚雷班でした。本当に船や飛行機が好きで、プラモデルの会では父がよく展示会に出展していました。そんな様子を見るたび、好きな仕事に就いているんだなと、つくづく感じたものです。

日本は、海に囲まれていて、補給・補修基地を背後に控えての戦闘、いわゆる水際防衛に利点があります。また、伝統的に海を利用した戦いには強いのではないでしょうか。
第1潜水隊群(呉)ちはや(救難艇)、みちしお、まきしお、いそしお、はやしお、あらしお、ふゆしお、はるしお、なつしお、くろしお
第2潜水隊群(横須賀)ちよだ(救難艇)、おやしお、うずしお、なるしお、ゆきしお、たかしお、さちしお、わかしお
第1練習潜水隊(呉)あさしお、はましお

● 形状による分類

ゆうしお型涙滴型潜水艦で、うずしお型の性能向上型です。たけしお、ゆきしお、さちしおがあります。老齢化した艦は除籍、種別変更されています。
はるしお型涙滴型潜水艦で、ゆうしおより大きく、蓄電池や諸機器の性能が向上されています。はるしお、なつしお、はやしお、あらしお、わかしお、ふゆしおがあります。
おやしお型葉巻型潜水艦で、水中探知能力向上のために船体側面にソナーを装備しています。はるしお型より大きく、情報処理能力の向上、航続力の増加、諸機器の自動化により、定員も5名減少しています。おやしお、みちしお、うずしお、まきしお、いそしお、なるしお、くろしおなどがあります。
練習潜水艦はましお型 ゆうしお型の6番目の艦として建造されましたが、平成15年にこれまでのおきしおに続く練習用に種別変更されました。
練習潜水艦あさしお型はるしお型潜水艦の最終艦として建造されました。以前は旧型艦を練習用に転用していましたが、最新艦の使用により、教育効果の向上と充実を狙っています。 涙滴型を廃した海上自衛隊最新鋭潜水艦(写真:防衛庁提供)

潜水艦を扱った作品

● 潜水艦の映画

眼下の敵(1957年)

イギリス海軍の中佐が書いた小説「水面下の敵」の映画化。ロバート・ミッチャム演ずる駆逐艦艦長と、クルト・ユルゲンス演ずるUボート艦長の知力を尽くした戦いを、息を呑むような緻密なシナリオ、映像で見事に表現した潜水艦映画の金字塔。どう見ても軍人には見えない、優(やさ)男の元民間船船長の駆逐艦艦長と、古武士のように厳格なドイツ軍人であるUボート艦長の対比と心理描写、そして、その二人が卓越した頭脳戦を互いに仕掛ける展開の妙が素晴らしいです。

U・ボート(1981年)

第二次世界大戦中のドイツ軍潜水艦の戦いの日々をリアルに描いた作品です。戦争という大きな流れの中に翻弄されながら、必死に任務を遂行しようと乗組員達の心情を、決してヒーローではない普通の人間として、等身大の視点で描いています。困難を切り抜けようやく母港に帰投しながら、最後に待ち受けていた過酷な運命に、戦争の非情さがくっきりと浮き彫りにされた名作です。

レッドオクトーバーを追え(1990年)

アメリカのベスト・セラー作家、トム・クランシー原作の映画化。後年ハリソン・フォードが演ずる「ジャック・ライン」シリーズにあたる。ショーン・コネリー演ずるロシア原潜艦長と、アレックス・ボールドウィン演ずるジャック・ライアンの渋い演技が、ともすれば大味になりがちの政治ドラマに厚みを与えています。

クリムゾン・タイド(1995年)

アメリカ原子力潜水艦アラバマを舞台に、第三次大戦ギリギリの状況で、世界の行く末を左右することになった艦長と副長の対立を主軸にしたポリティカル・サスペンスです。デンゼル・ワシントン演ずる副長と、ジーン・ハックマン演ずる艦長の、手に汗握る駆け引きが見どころです。

ローレライ(2005年)

第二次大戦末期の日本軍潜水艦を舞台にした、戦争アクションです。昨年封切りされたばかりなのでご存じの方も多いでしょう。役所広司演ずる潜水艦艦長と乗組員の戦いを描いた作品です。CGを多用した戦闘シーンと、奇想天外な搭載兵器の組み合わせは、戦争映画と言うより、まるでSFアニメのようでした。

● 潜水艦の漫画・アニメ

沈黙の艦隊(1988年)&ジパング(2000年〜)

かわぐちかいじ著。父が沈黙の艦隊を紹介したことから、読むようになりました。沈黙の艦隊は、早めの校了を予定していたらしいのですが、思わぬ人気にずるずると連載を引っ張った・・・という見方もあります。日本初の原子力潜水艦、しかも艦名「やまと」という設定もさることながら、それを独立国家と見なす発想が秀逸で、アメリカという巨大な軍産コングロマリットに戦いを挑みつつ、国家とは何か、人間の尊厳とは何かを描いています。しかし、敵役がアメリカの、それも大統領であり、日米安保の傘という、微妙で危うい背景に、政界でも一時話題となりました。
ジパングは、第二次大戦前期にタイムスリップした海上自衛隊の最新イージス艦と、時の帝国海軍を舞台に、歴史の渦に巻き込まれ翻弄されながら、自分たちの存在の意義をかけて戦う人間達のドラマです。政治ドラマ、人間ドラマ、戦争ドラマ、アクションドラマ、そのいずれのジャンルにおいても、良質のエンターテインメントと言えるでしょう。潜水艦が”主役”ではありませんが、要所要所に登場する日米の旧型潜水艦が、その緻密な描写と相まって、ドラマを盛り上げてくれます。

青の6号(1967年)

小澤さとる著。名前だけは知っていたのですが、実際に見たのは1998年のOVAが先。近未来の地球は人口が膨れ上がり、海に希望を持つようになりました。各国の潜水艦を「青」と呼ばれる海を守る超国家組織へ派遣させることになり、日本も潜水艦を送ります。そんな中、科学者ゾーンダイクが海洋テロ結社を築き、人類せん滅を宣言する、という内容です。古くは「サブマリン707」から繋がる、作者得意の潜水艦アニメ(漫画)の傑作と言えるでしょう。

ふしぎの海のナディア(1990年)

19世紀末を舞台に、ナディアという少女とジャンという少年の出会いから始めるSFアニメ。エヴァンゲリオンなどで知られるガイナックスのTVシリーズです。ネモ船長率いる万能潜水艦ノーチラス号、謎の敵ガーゴイルとの戦いに、まるで、たぐり寄せられるように巻き込まれてゆくナディアとジャン。そしてナディアの「不思議な」出生の秘密・・・とても人気があったのですが、NHKということで食わず嫌いだったため、小説から入っていきました。最後に空を飛ぶ潜水艦が、宇宙戦艦ヤマトを彷彿させます。

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