山田詠美
私が中学生の頃、自分の発する言葉が嫌いで、自称失語症になりました。何かを話そうとすると自分でストップをかけてしまうのです。精神的な失語症です。
そこで、本屋さんに行き、気になる本をたくさん読むようになりました。その中で自分の気に入った言葉を書きとめたり、何度も読んでは自分の物にしようとしてきました。
そんな時に出会ったのが山田詠美さんの本「放課後の音符(キイノート)」でした。
中学生だった私には、高校生の女の子たちが大人っぽくも見せたし、近い年代だから、自分もこうなりたいなと思いながら読みました。
そしてどんどん読んでいくうちに山田詠美さんについて知りたい、もっと読みたい、となり、「アニマル・ロジック」という長編の本を読んだ時は、この辺は詠美さんは苦しんで書いているな、というのが判るようになりました。
エッセイではくだけた話し言葉なのに、これほど判りやすくきれいな文章で心に残る本を書く人はいないだろうと思います。
【作品について】 - 好きな作品
とにかくたくさんあります。割と学生時代から読んでいたので、学生が多く出ている作品が印象的に残っています。
放課後の音符
高校生くらいになると、成長にも差が出てきたり、大人になる準備期間だな、ということで複雑な心理が絡み合っていると思います。
ぼくは勉強ができない
「放課後の音符」の長編になったようなつもりで読みました。映画も好きで原作の味がよく出ています。
蝶々の纏足
正反対の二人の女の子が成長していく様子。
ラビット病
ゆりちゃんとロバちゃんにほのぼのしました。
色彩の息子
短編集で、ひとつひとつに色のキーワードが盛り込まれています。
メンアットワーク
対談集。ここで大好きな瀬戸内寂聴さんを知りました。今思うと石原都知事(このときは都知事ではない)も参加していて、貴重かもしれません。
ファンダメンタルな二人
よく高校生のときに読んでいました。松田聖子についてなど、当時世間で騒がれている話題が結構ありました。
ノスタルジック気分
学校に通うとき、電車を乗り継いで1時間以上かかりました。そのときに、必ず読んでいたのが詠美さんの本でした。
学校帰りの本屋さんで詠美さんの本を見つけては買い、そのままでは恥ずかしいので必ずカバーをかけてもらっていました。
高校生の頃、大人びてきた女の子たちを横に、私はこんな本を読んでいて、こんなことを考えているという自意識もありました。
それもまた今思えば恥ずかしいことだけど、誰かに勧めたいし、自分だけのものにもしておきたい。知っている人同士でこそこそ話したい。
そんな気持ちにさせてくれるのが詠美さんの本です。