大塚英志
私たちはたくさんのメディアから情報を取り入れてきました。
その情報が必ずしも事実ではないことは、週刊誌などで感じるのですが、何が嘘で何が本当か、また、その情報について疑うということを自ら訓練しなければ、何の疑問もなく受け入れてしまいそうです。私はこの、「疑うこと、考えること」を訓練したいと思っていました。
自分たちがどんな時代に生まれてきて、今までにどんなことがあったのか、メディアの影響はどれだけあったのか、ということが知りたくて、大塚英志さんの「定本物語消費論」から入っていくことになりました。
【作品について】 - 読んだ本
【COMIC BOX Jr.】
おたく向けの雑誌です。同人誌総合情報マガジン。私が読んでいたのは、1989年前後です。「聖闘士星矢」「天空戦記シュラト」「キャプテン翼」「鎧伝サムライトルーパー」の同人誌が全盛期の頃です。
この本の編集をしていたとは、全く知りませんでした。しかし、漫画やおたく文化に詳しい理由がよくわかりました。
定本物語消費論
この人が原作の本は全ておたく受けします。
子ども向けではないという点では他にも「カウボーイビバップ」や「サムライチャンプルー」などありますが、大塚さんの作品には、どこか内側に閉じたおたく要素が盛り込まれています。
大きなポイントは同人誌になりやすいと点があります。キャラクターを動かしやすいです。ひとつの作品で読者は更に作品を作っていく、という作業をします。
この本では、物語は消費され、複製され、再生される、ということを伝えています。
最初、この本を買ったときは、年表がついていたので、データベースとして活用するつもりでいました。
新現実Vol.2
「天皇制の立場」をテーマに、宮台真司。福田和也、大塚英志らが語った分厚い雑誌です。団塊世代や団塊世代ジュニアについて、「物語消費論」について書かれています。
二次創作というものは、与えられたフレームの中で自己表現をしている、消費行為だというところに共感しました。
おたくの中に版権物を扱った二次創作が圧倒的に多いのも、既製品を元にした簡単にできる自己表現なのかな、と思います。
大塚英志論
すべてのメインカルチャーがサブカルチャーになっていく。
おたくについての考察は、まんが、アニメ、ゲームに留まらず、洋服などについている「くまさん」や少女雑誌にも向けられています。サブカルチャーという種類が増えてきている、大塚さんが専門としている、語るものが増えてきているということの現われです。
また、日本自体が物語として、あたかも自分のことのように語られていると言っています。日本に何かがあると自分のことのように感情移入してしまう、自分のことのように話してみたくなる、というのは私にもよくあります。
ただの不安感や日本に対する興味だけでなく、日本にいる自分の存在を語ることで自己表現したいのだと思います。
私的おたく論
私は飽きっぽい性格で、長くはまるということがありません。
不安定な小学生の時から、アニメやまんがに入り込んで、たまに長くはまるのですが、はまれる作品がそれほどありませんでした。はまった作品は今でも好きで、何回でも見ることができます。見るたびに印象が違います。それは、自分の中で作品を受け入れ、更に自分で作品を作り上げるという作業です。何か形にするにしても、しないにしてもです。その作業をしたくて仕方がありません。
でも、多くの作品は、その作業をすることなく、次の作品、次の作品と消費するだけになってしまっています。そういう時期が長いので、自分自身がおたくなのか、おたくではないのか判りません。アニメやゲームのおたくから洋服や人形や映画といったものへシフトしているかもしれません。作品を取り込み、咀嚼し、栄養にしたいのです。
ただ、昔の作品を今でもずっと見ていて、今もはまれる作品を求めている、おたくについて客観的に見ることができるくらい長いおたくだとも言えます。
同年代のおたくの子と話をするのですが、「ぎゃー」「ふふふ」「がーん」といった言葉を口にするおたく言葉が多くてついていけないときもあります。私の時は作品をネットで公開することもなかったし、コスプレだけのイベントなんてありませんでした。
最近は外見ではおたくと判らない人も多く、自分を身奇麗にし、キャラクターに近づけ、コスプレをしてその世界を楽しむという手法が増えてきたようです。おたくも進化しているんだな、と思いました。
大塚さんの作品たちは私と同じく、おたくの中に身を置いて客観視することができるからこそできた作品たちだと思います。